Milkのメモ帳

日々の思いつきを忘れないようにのメモ用です。

Milk's Memo Note

日々の思いつきを忘れないようにのメモ用です。

雨が嫌いなのに、雨を求めてさまよう悲しい男の話

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最近、土砂降りの雨が続く毎日のMilkです。

こんな雨を見ると、大学生時代を思い出します。なんと、私は雨を求めてさまよう大学生だったのです。

豪雨であればあるほど飛んで外に出て行きました。ちょっと狂ってますね。(笑)

それには、訳があったのです。

複数の研究を行う哀れな学部生

私の大学での研究分野は画像処理でした。

格好いい言い方をすると、スーパーレゾリューション(超解像技術)とか3Dレンダリングとかといった分野の話です。

そうですね。想像しやすいとこだと、Googleの3Dマップがありますよね?

全天球カメラから写したデータはあくまで2Dです。これを、3Dへどのようにデータ変換させるかといったところが、あのGoogleマップの3D機能は素晴らしいのです。

あれに近い研究を行っている研究室でした。


ですが、私はその中で2D(普通の画像)についての研究をするように言い渡されるのです。

しかも、2つの分野を並行で!!(なんてことだ!鬼教官!!)

私の研究対象は、画像に写った遮蔽物を取り除く技術についての研究です。

その遮蔽物の1つの題材として雨があったのです。他には煙や靄と言った候補もあって、それも同時に研究しろと言われました・・・

雨を求めて3千里

先ずはデータを集めることが必要です。

普段は、煙や靄を発生するスモークマシンと戯れる毎日だったのですが(煙が充満して火事と間違われて通報されそうにもなった。)、誰かが

「雨が降ってるぞ!!」

と言うと、私はカメラとカメラの三脚を担いで雨の中飛び出して行き、雨の写真を撮りまくるのです。

建物の中からお外に向かって撮れればよかったのですが、時には豪雨の中でカッパを着ながら撮影会を敢行するという日もありました。

しかし、そんな努力も虚しく私にある事実が突きつけられるのです。

雨、写ってなくね?

雨が降ればMilkが走る!と噂が立つほど、雨を求めてさまよっていたのですが。

写真を撮れども撮れども、雨が写真に写らない!!

写真に対して目を凝らして見てみれば、「あー。何となく線が入ってるかな?」ぐらいなんです。

洪水のような豪雨の中で頑張った撮影会も無駄でした・・・


どして・・・どして、雨が写ってくれないのん・・・

そもそも雨が写らないなら、遮蔽物として取り除く研究しなくていいじゃん・・・

雨はどうして写真に写りにくいのか?

雨を取り除くとの話だったのに、議論はだんだんと「何故、目には雨が降っていると分かっているのに、カメラでは写せないんだ?」という方向になってきました。

そこには、お天気とカメラの構造に関係がありそうだったのです。

絞り値(F値)とシャッタースピード

カメラ好きの方には当たり前の話なのですが、一眼レフカメラにはF値とシャッタースピードというものがあります。

絞り値(F値)とは、目で言うと瞳孔に該当して、光の量を絞るときに使用される値です。

シャッタースピードとは、目で言うと瞬きに該当して、瞬きをする速さに使用される値です。

カメラの奥には、今ではCMOSというイメージセンサがついていて(昔で言うと写真フィルム)、これに光がどれくらい長い間当たるかで写真の明るさが変わってくるのです。

例えば、絞り値(F値)を小さくする(絞る量を小さくするので、瞳孔が開くイメージです。)と、光の量は多くなりますから明るい写真が撮れます。また、シャッタースピードが遅いと、動いているものはシャッターが閉まるまで動きながら光が当たり続けるのでぼやけて(ブラーと言います。)写ってしまいます。

こういう風に、F値とシャッタースピードを微妙に調整しながら、プロの写真家さんたちは素晴らしい写真を撮影しているのです。

www.nikon-image.com


雨の日は暗い

雨の日は基本的に暗い日が多いです。当然です。雨雲があるから雨が降るわけですから・・・

ということは、いつもより絞り値(F値)を小さくして明るい写真を撮ろうと考えます。また、出来るだけシャッタースピードを遅くする方向にします。

しかし、これがちょっとした罠だったのです。

被写界深度という罠

皆さんは背景がぼやけた写真を見たことがありませんか?

www.nikon-image.com

http://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/manual/19/img/05/pic_01.jpg


写真の撮り方によって、ピントが背景まで合っていたり、人物にしか合っていなかったりします。

このピントが合う距離(深さ)が被写界深度と呼ばれるものです。


絞り値が変わるということは、単純に考えるとレンズの大きさが変わる(レンズを隠す量が変わる)ということです。

5.被写界深度 - カメラと光のはなし

https://sites.google.com/site/gofinch/_/rsrc/1351081599747/camera_and_light/dof/%E9%8C%AF%E4%B9%B1%E5%86%86%E3%81%AE%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%95.png

詳しくは上の記事の中で計算がなされていますが、絞り値(F値)が小さくなればなるほど(つまりレンズの大きさが大きくなればなるほど)、焦点が合う範囲が狭くなることが分かっています。

と言うことは、雨の日は絞り値(F値)を必然的に小さくしますから、焦点の合う範囲が狭くなり、焦点が合っている雨の量も少なくなるということです。

結果的に周りの明るさが暗いと、どんなに雨が沢山降っても、ピントが合って遮蔽物になる雨の量は少ないということです。(シャッタースピードを遅くして明るさを保つにも限界があります。)

以下がその例の図です。

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ΔZが焦点が合っている雨の範囲になります。絞り値(F値)を小さくすることで、この範囲が狭くなるのです。

この図は、ある論文から抜粋しました。それはこちらです。

「When Does a Camera See Rain?」
http://www1.cs.columbia.edu/CAVE/publications/pdfs/Garg_ICCV05.pdf

実は、カメラに雨が写り込む条件について研究されており、写り込んだ場合の回避方法(絞り値とシャッタースピードの調整)についての論文が既に存在していたのです。


なんということだ!!

これに行き着いた私たちは、この研究については打ち切ることにしました。



という訳で、一眼レフを買えるお金は持たない貧乏な私が、無駄に一眼レフの知識だけは持つという不可思議な現象が発生して終わりという、悲しい結末を迎えたのでした。


「ショーシャンクの空に」ばりに雨を受け続けた私。

今でも大雨に遭遇すると、無駄にカメラを担いで駆けまわっていた大学時代を思い出します。(笑)

ショーシャンクの空に [DVD]

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因みに、ドラマとかで雨のシーンを撮影するときは、尋常じゃない程の量のシャワーを上から降らせるんだそうです。