Milkのメモ帳

日々の思いつきを忘れないようにのメモ用です。

Milk's Memo Note

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MRJは国家プロジェクトである自覚を持て!!

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news.yahoo.co.jp

MRJが欧州で初受注をしたということで喜んでいる。

受注に関して一喜一憂するのは結構。だが、これまでのMRJの動きをウォッチしていて、私は非常に怒っているのだ。

MRJとは

www.flythemrj.com

MRJとは、Mitsubishi Regional Jetの略称だ。

YS-11

第二次世界大戦以降、日本は国産飛行機を作ることは禁じられてきた。

終戦後しばらく経って、その縛りはなくなるわけだが、もはや他国に追いつく程の技術を持ち合わせていなかったのだ。

何とか一般の旅客機が登場し、つい最近まで運用されていたのはYS-11という機体だ。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/da/MyPhotoYS11-2.jpg/1280px-MyPhotoYS11-2.jpg


しかし、老朽化によりこれは日本国内の運用を停止している。

また、このYS-11は国産機であることで湧いたが、結局のところ失敗したプロジェクトの部類に入る。

trendy.nikkeibp.co.jp

原因は、運用コストが割高になってしまい(要はメンテナンス費用が掛かり過ぎる)、国産機だという以外は何もメリットがない状態になったからだ。

国産機再開発への準備期間

その後、暫くは”国産機”の生産はどこも行わなかった。

しかし、IHIや三菱重工、また川崎重工などは、各々の分野(エンジンモジュールや部品製造、また主翼の製造など)での技術開発を行い、ボーイングやボンバルディア、エアバス等の航空会社に採用されるなど実績作りを行っていた。

また、三菱重工は国産ステルス戦闘機(心神)の開発を手掛けるなど、”航空機”というくくりで行けば、まったく携わっていなかったという訳ではないのだ。(しかし、これも思うように開発が進んでいない。これについては後述する。)

東レなどの繊維メーカーの、ナノカーボン素材がボーイング787の機体のボディーに採用されたことも、記憶に新しい。

三菱航空機(Mitsubishi Aircraft Corporation)

YS-11の時は、時期尚早だった。

技術的に他国に引き離された状態では、国内で飛ばす機体を作るのがやっと。

これを他国に輸出するなんてことは到底無理な話だった。

今は、各々のメーカーが部分的にではあるが航空機の部品製造ノウハウを十分に蓄積した状態になった。

後は、ボーイングやエアバスと言った”航空機の組み立て”を行うノウハウを蓄積できるかが、日本航空産業の発展の鍵となっていたのだ。

皆さんがよく耳にする、ボーイングやエアバス、そしてボンバルディアと言った航空機メーカーは、各々の部品生産をほとんどしていない。何をするかというと、各部品メーカーを組み合わせて飛行機の設計を行い、そして製造する上でのプロジェクト運営を行う立場にある。

IT業界で言えば、SIerの立ち位置にあるのだ。(IT業界においてSIerの立場が必要かなんてことは、とりあえず今は置いといて欲しい(笑))

国産機を開発する上で、このプロジェクトの旗振り役を担う会社は国内に存在しなかった。

もう少し厳密に言うと、旅客機の生産でこのボーイング等に位置する会社は存在しなかったのだ。


そこで、三菱重工がこの存在になろうとして手を挙げる。

三菱重工は、三菱航空機という会社を分社して設立。そして、ここに旅客機の組み立て事業を担わせることにしたのだ。

そして、三菱航空機が生産しようとしている機体。それが、Mitsubishi Regional Jet(MRJ)である。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/16/JA21MJ_TAXI_TEST.jpg

ターゲットとしてはリージョナルジェット。つまり、小型旅客機である。

www.flythemrj.com

一番大きなタイプのMRJ90でも、座席数が88席しかないことからも、これが小型機で比較的近距離用の運用を目的としていることが分かる。

MRJは国家プロジェクトである

民間の会社が努力して新しいマーケットを開拓しようとしているなら、私も応援したくなるし、素直に素晴らしいと思うのだ。

しかし、これは民間プロジェクトの皮を被った、国家プロジェクト。つまり国プロなのだ。

税金が投入されている

ひとつ目の問題は、このプロジェクトは国内の航空機産業の発展を目的としている側面があるため、国が援助し税金を投入しているということだ。

このプロジェクトの発端は、三菱が航空機を作りたい!と言い始めたということではない。

国プロジェクトとして、国内の航空業界を発展させるため、国産機を製造しようという動きから始まった。

厳密に言えば、主導していたのは、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)だ。

つまりは、税金投入を行う国プロジェクトなのである。

そして、ここに旨味を感じた三菱重工は、それに乗っかる形で国産機の製造を始める。

news.livedoor.com

www.rieti.go.jp

確かに、新しい技術への投資を目的としているため、直ぐに利益を出すことが第一というわけではないことは分かる。

国プロとして最初から400億円近くが投入された。これは当初の開発費用が1500億円程度であると見積もっていたからである。

また、未来の技術開発として経産省から、追加で数億ずつ援助もなされている。


しかし、このプロジェクトは初号機の納入が2013年のはずが、現時点ではやっとテストフライトが出来た段階で、納入なんてまだまだ先の話である。(納入時期は2017年に延期)

そして、幾度も納入時期をずらしたことにより人件費がかさみ、当初の予定の倍以上の費用(3300億円)がかかることが判明した。

www.asahi.com

現時点で、これに対し追加で税金が投入されるかは分からない。

しかし、政府系の銀行である日本政府投資銀行から資金借り入れを行っているようである。

www.nikkei.com


つまりは、このプロジェクトには既に税金は投入されており、開発費は膨れ続けているという現実だ。

そして、開発中断を避けるために、結果的には三菱を援助するような形で追加で税金投入されるリスクがあるということだ。

まさにコンコルド効果に陥りそうなリスクを孕んでいる。


そのため、私はこのプロジェクトで再三、納入時期が延期される報道がされると怒りが込みあげるのである。

この間のテストフライトで、航空ファンは喜んでいたようだが、あのテストフライトにこぎつけるまでに幾度の設計変更を行ったことか!

まったく喜ぶ気分になれなかった。

HONDA JETの方が数万倍優秀だ。

当初の”純国産”の目的から逸脱している

この国プロの当初の目的は、国内の航空事業の底上げである。

つまりは、MRJは国産技術で固められた、”純国産”の航空機であることに意味があった。

だから、NEDOが投資を行った真の意味はそこであった。

当初の計画では、航空機を構成する部品は国産部品を採用する予定であった。

しかし、三菱航空機はプロジェクト運営に失敗し、設計の中にそれら国産部品を上手く採用することができなかった。

つまり、プロジェクト運営のノウハウがないため、機体全体の設計をしたときに必要な部品の選定が正しく行えなかったのだ。

結果的に、今までと深いつながりのあるGEなどの欧米メーカーの部品を採用することで、機体を構成することに計画をシフトする。

その結果、7割を海外メーカーが占めるという、本来の”純国産”で航空分野の事業の底上げという目的から逸脱した機体となった。

http://mainichi.jp/articles/20151112/ddm/003/020/072000c

しかも何度も言うように、これだけ海外製で固めたのにテストフライトにやっとこぎつけた状態である。

最後に

私が怒っているのは、仮にこの機体が売れまくったとしても、三菱にしか旨味がないということだ。

国プロとして、三菱は何割かの資金援助をもらっている。

そして、海外製部品で構成した機体を”純国産”と偽って販売するのに、日本の航空事業分野に対して利益が3割しか降りてこない。

しかもほとんどは三菱がマージンを取るだろう。


なんだか皆、MRJに対して歓迎ムードなのだが、私はこれらの点から考えても応援する気にならないのだ。

付け加えて言うと、ステルス戦闘機(心神)のプロジェクトもボロボロになっている。もともとの開発工程から遅れまくっているのだ。

航空機開発実績があると自負する三菱重工は、結局は部品サプライヤーの域から脱出することは出来ていないということだ。

プロジェクト運営ノウハウをまるで持っていない。


新しい分野に失敗はつきものだ。それは分かる。

だが、あまりにずさんだ。これに対して、税金投入までして支援する意味が果たしてあるのか?というのが私の意見だ。

HONDA JETは既にテストフライトも順調で、納入の一歩手前まで来ている。


失敗するにしても、失敗の仕方が大事だ。

先ずは出来る範囲のちょっと大きめのところからトライするべきなのだ。

”純国産”だとか、高性能の小型旅客機だとか、自分たちで夢ばかり打ち上げて、自分たちでそれに被弾している。

まったく目も当てられない。

そういうわけで、MRJのプロジェクトは私としては納得できないのである。