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最近、この話題がtwitterに流れてくることが多くなった印象がある。
それほど「AI」と言うワードは、一般の人に浸透し始めたのであろう。
しかし、気になる主張があるのだ。それは「AIによって仕事が奪われる。」という主張だ。
私個人の意見を言うと、それは誤りだと考えている。
過去も「仕事」の内容は変化してきた
産業革命以降、多くの力仕事は機械にとって代わられてきた。
それによって、人の仕事が絶滅したかと言うとそうではない。
新しく、輸送業などの仕事が出現した。
では、コンピュータの出現は私達にダメージを与えただろうか。
圧倒的に計算スピードが勝り、我々以上の計算精度を叩き出す、この恐ろしい機械によって私達の仕事が駆逐されたかというとそうではない。
このコンピュータを制御しなければならない仕事が新しく生まれた。
つまりの所、新しい技術によって世の中は変化を遂げてきたが、それに合わせ我々は新しい仕事を見つけ出し、それをこなしてきたのだ。
AIによって「仕事」が奪われる
それを踏まえて、AIについて考えてみよう。
まず、主張として私が反論するのは、もうお分かりのように「奪われる」にしかスポットが当たらないことだ。
有名な論文と言えば、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文だろう。彼によると、以下の内容の職種は90%以上の確率でコンピュータに仕事が置き換えられるとしている。
しかしながら、これと同時に新しい仕事が出現するはずなのだ。
では、AI自体を製造するのはどうする?
AIのメンテナンスは誰が行う?
AI自体の判断の決定権を誰が持つ?
AIを組み込んだサービスを設計するのは誰がする?
今、考えるだけでもこれだけの事が必要になってくる。まだまだ沢山あるはずだ。
我々が目指す方向は?
先ず、絶対に奪われない仕事がある。
それは、人を組織し運営する仕事だ。
奪われない仕事
これは、つまりチーム運営能力である。確かに、タスク配分や工程管理をAIが担うことになるかも知れない。
しかしながら、人自体を引っ張る能力、団結させ誘導する能力、これは無くならない。
例えば、ある案件が決まり、それをこなすために必要な仕事の分解と配分はAIが担うだろう。
だが、その方向性を決定することは人が担わなければならない。
そして、それは各メンバの状態を把握し、そしてコミュニケーションをとり、彼らの考えを汲み取る必要がある。
そういうソフトの面は、コンピュータに代用させるのは難しい。
良いか悪いかは置いといて、人は”感情”の生き物だからだ。
新しく生まれる仕事
今後、必要とされる能力は、人のニーズに対応したサービスを即時に展開することだ。
つまりは、自分の専門だけに留まることは出来ない。これは会社も個人もだ。
人が何を求めているのかを理解し、それを自分たちの分野でカバーできないならば、提携も視野に入れながら迅速にサービスを提供する。
これが求められる。
どの分野の業界でも同じだ。IT業界だけの話ではない。いや、寧ろIT業界以外の方が主役である。
SIerは、そのサービスを具現化することを生業とするからだ。
既存の自分たちの領域を破壊する行為になるとしても、これに乗り遅れた場合には、最終的に破滅する。
要は、いかに既成概念にとらわれず、脱皮できるかだ。
そして、何を求めているかというアイデアで勝負する。
これは、どの仕事でも必要なことでしょう?
貴方の仕事の中でも、日々の仕事を上手く回すために様々なアイデアを考えているはずだ。
このアイデアを考えだす能力を強化することが、今後必要だと考える。
AIはあくまでもツールだ。どのように利用するかという部分は我々が考えなければならない。
そして、自分のパークを勝手に決めないことだ。「俺のやることはこれだけだ!」と決めてしまうと、それ以外の情報は収集出来なくなる。これを定義した時点で、その人は仕事の面では死んだも同然だ。
今後は、その働き方はナンセンスになるはずだ。
いかにサービスのアイデアを生み出すかと言うのが、我々の人間の大事な仕事になるからだ。
そのためには、自分の専門も確立しつつ、他人がどのような強みを持っているのかも理解し情報を収集し続ける必要がある。
それを組み合わせれば、新しいことが生み出せるかも知れない。
これからの世界は、柔軟に自分を変化させることが出来る、そしてそれに躊躇しない人間が生き残ることが出来る。そう私は考えている。
最後に
ある記事を読んで、「AIによって仕事が奪われるのだから、副業によって利益を確保する道を模索すべき」と言う意見があった。
私としては、それはナンセンスであると考える。
これは、力が本業と副業に分散され、結局の所、全てが中途半端になる。
どちらかに注力すべきだ。
また、本業でも十分にAIに対抗しうる能力は獲得できる。人を組織する力。そして、アイデアを絞り出し提案する力。
これは、これから重要視されるはずだし、既存の社会でもずっと求められてきたことだ。
今後は、これらの能力に人や時間が多く割かれる世界に変化する。
要約すれば、「クリエイティブ」な部分に人々は多くの時間を割くようになる。
そして、それは今の仕事の中でも十分に獲得できる。
AIという仮想的な敵を作り、自分の環境に対して目を背けるべきではない。
それは、現状に不満を述べて、何も行動していないに等しい。
今出来ること、それを愚直に行う。それが、我々の出来ることだし、我々が生き残る道だ。