Milkのメモ帳

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【視聴】ゴースト・イン・ザ・シェル【感想】

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映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイト

こんにちは。Milkです。
実写版「攻殻機動隊」である「ゴースト・イン・ザ・シェル」を見てきました。

前回は、まさかの財布を忘れるというパターンで見れなかった私。

www.milkmemo.com

ちゃんと今回は、財布を握って行きましたとも!!

恐らくは、最初からネタバレ全開で行きますから、ご注意下さい。

概要

テロリストとの紛争により、家族と難民船に乗ることになったミラ・キリアン。しかし、その難民船は沈んでしまい、ミラ・キリアンは身体の損傷が激しい状態で救出される。

両親は既に亡くなってしまっていたが、ミラの脳だけは取り出すことが可能であった。

軍事産業で頭角を表していたハンカ・ロボティクス社。またCEOでもあるカッターと、研究員のリーダーのオウレイは、脳以外を義体で構成する身体に彼女の脳を移植し命を救うことに成功する。

こうして、全身義体第一号となった、ミラ・キリアン。しかし、その代償として彼女は、過去の記憶を失っていた。

カッターは、より政府に自社の製品を売り込むため、「公安9課」にミラを配属させることを希望する。

1年後。少佐とメンバーから呼ばれるようになったミラ。

ある時から、ハンカ社の研究員ばかりを狙う連続殺人が発生。現場では「ハンカ社と組めば破滅に向かう」というメッセージが残されていた。

そのメッセージの真の意味は何なのか。

犯人の目的は何なのか。

ミラは、脳は人間であり、身体は機械である、特殊な生命体として己は何者なのかという疑問と葛藤しながら犯人の捜査を行う。

感想(ネタバレあり)

その前に、私の率直な気持ちを吐露します。

これは酷い・・・

酷いポイントは様々あるのですが、これは幾つかに分けてご説明しましょう。

実写版のストーリーのベース

一番期待していたのは、「どの話をベースにするのか?」という点。

つまり、大本としては「Ghost in the shell」というアニメ映画版が存在します。

これは、少佐と呼ばれる草薙素子が、「人形使い」と呼ばれるゴーストハッカー(電脳のっとり)を追い詰めていく話です。
(もちろん公安9課は成立しています。)

また、最終的には、この人形使いはA.Iであることが判明し、自らを「新しい生命体」であると主張します。

公安9課のメンバーであるバトーから、証明してみせろと言われますが、人形使いは「人間は自らを生命体として定義できるのか?」という逆質問を行われ、互いに「生命体の定義」が決定的には出来ずに終わります。

そして、自らの断片的な記憶しかなく、義体化し脳しかない自分はロボットと何が違うのか(アイデンティティの喪失)と葛藤する素子と、生殖機能を獲得し子孫を残すことが生命の目的であるとする人形使いの利害は一致。

素子は自らの電脳に人形使いを受け入れることによって、人形使いと素子が融合した新しい「生命体」として生きることを選び、「ネットは広大だわ・・・」という言葉を残し消えていくというのがストーリーとなります。

これは、原作に忠実な構成になっており、自らを「何を持って人間と定義できるのか」というメッセージが色濃く出た内容になっています。

これ以外にも、人形使いに出会わなかったら・・・というIFストーリーとして展開される、「Stand Alone Complex」シリーズがあります。

「Stand Alone Complex(S.A.C)」「Stand Alone Complex 2Gig(S.A.C 2GIG)」「Stand Alone Complex Solid State Society(S.S.S)」の3作品があります。

このように、原作に忠実に描くならアニメ映画版を軸とするでしょうし、より公安9課の活躍を描くならS.A.Cシリーズを軸とするでしょう。

今回の実写版は?

オリジナルストーリーです。

一番やっちゃいけないパターン。

つまりどういう話?

完全義体化が初めて成功したのはミラ・キリアンであり、外見は西洋人ですが実は脳は東洋人です。

草薙素子という人物の脳を使っています。

また、カッターが直接に指揮する機密プロジェクト(PJ2571)として進行していた、全身義体化技術。

ミラに到達するまでに、98人の脳を使って失敗しています。
(それまでは、義体を制御できなかった、或いは意思が強すぎてカッターの制御下に置けなかった。)

そして、その中には脳と義体がマッチせず、生きてはいますが廃棄処分となった者もいました。

それが、クゼだったのです。

彼は、「PJ2571」に関係する人物全員を抹殺することを決行。そして、人間同士の精神をつなぎあわせた新しいネットワークの構築にも成功します。

クゼはミラ(素子)に真実を話し、オウレイも自責の念から研究について話すと、ミラはカッター達が何をして来たかを理解し始めるのです。

素子たちは、家出をして来た若者たちであり、その中にクゼヒデオも含まれていました。テクノロジーによる人間性の喪失について訴えようとしたところ、政府により拿捕。

その後、彼らはハンカ社により、全身義体の被験者として利用されていきます。

つまり、素子は脳の記憶が蘇ろうとする度に、バグと称して記憶を消されるという作業を繰り返されていました。

その真実にたどり着いた素子とクゼは、カッターにより殺害を試みられますが、なんとか撃退。

その最中にクゼは狙撃を受けます。クゼは「君のゴーストの中にいる」という言葉を残し息絶えるのです。

最後に、素子は機械と融合した人間を「人間と定義できるか」という疑問に答えを出しますが、「己の未来の行動によりそれは示すことが出来る」という答えを導き出す。

というストーリーです。

全てが中途半端で、つまみ食いですらない

世界観は、アニメ映画版に対してのオマージュを込めての作りになっています。

西洋と東洋が融合したような、またスラム街も合わさったような世界。

ブレードランナーのような世界と言った方がいいでしょうか。

今の時代に、このブレードランナーのような世界を「未来の形」として表現するのは無理がある。

というか拒否反応が出る。あれは、あの時代だから受け入れられたのであって、今の時代の延長線上には現れません。

また、所々にアニメ映画版の演出と同じ物が出て来ます。

  • 犯人を追い詰めるために水の上で格闘するシーン
  • ラスト前に海の中で素子が沈んで自己対話を行っているシーン
  • 多脚戦車を止めるために義体を壊してまで制御ユニットを破壊するシーン
  • 生命の樹を連想させる大木の下に負傷したクゼが居るシーン

など、挙げていくときりがありません。しかしながら、アニメ映画版はフォーカスが違うのです。

人間、及び「生命体」としての定義は何をもって行われるか。

A.Iである人形使いは、それを投げかけています。

その答えは明確に出ないと判断し、より新しい世界で物事を考える必要があると考え、素子は人形使いを脳内に受け入れます。

しかし、今回は答えを出してしまった。

視聴者に投げかけて終わりというのがベストな選択なのに、何かしらの答えを出してしまった。

しかも、意味が不明・・・

そして、実験失敗の犠牲者による復讐劇というありきたりのストーリーになってしまった。これによって問われるべき問題がぶれまくるという状況を引き起こしています。

また、クゼという人物を使ったところもミスです。

クゼは「S.A.C 2GIG」の難民指導者の中心人物です。つまり、「個別の11人事件」の中で重要なポジションにある人物であり、原作には登場しません。

このクゼは、「S.A.C 2GIG」の中では、カリスマ的なリーダー性を持っており、彼の脳は人々の思いを受け入れても、自我を保ち続けました。
(普通ならば、何千、何万、という人物との接続によって、何かしらの影響を受け自らの本質が変化していく。)

これにより、更に多くの人々がクゼとネット上で対話を行い、クゼに合流するようになるのです。

新しい「人間同士の精神を繋いだネットワークを構築した」という設定で登場させていますが、「S.A.C 2GIG」で発揮されるカリスマ的なリーダー性による先導という本来の役割から遠く離れています。

また「S.A.C 2GIG」では、クゼと素子は共に幼少期から全身義体化を行うわけですが、クゼと素子が全身義体にした理由は異なります。

素子が全身義体化した理由は隠されていますが、クゼは飛行機事故のなか一人助かるということになっています。しかし、身体を自由に扱うには義体化の道しか残されていませんでした。

ただ、生きる希望を失っていたため、興味を示しません。

その時、既に素子が全身義体化に成功しており、彼女と一緒に過ごす内にクゼは全身義体化によって、自由に動けるようになりたいと思うようになるのです。

よって、クゼという人物は、素子の記憶の中で重要な意味をもつ人物であり、クゼもまた素子との接点を持っています。

しかし、それは幼少期の時の記憶だけです。

ここからも、クゼというキャラを使用してしまったことが、視聴者の期待を変に膨らませ、そして裏切るという行為になっていることが分かるでしょう。

公安9課が弱すぎる

もう、これが一番の敗因だと思います。

とにかく、公安9課が弱い。

草薙素子は、電脳ハック(ゴーストハック)が可能なほどのハッカーの腕を持つとされていたはずです。

しかしながら、攻性防壁(逆ハッキングやウイルスの逆流を防ぐ装置)を通さずに、証拠品の芸者ロボットにハックを始める(しかもクゼのハッキングにあうことになる)時点でお粗末です。

公安9課は義体率が高い、スペシャリストの集団です。

実写版では、最初バトーは目が義体化されていませんし、身体も義体化されていません。

アニメでは、バトーは素子同様に全身義体化が既に施されているはずです。

しかも、バトーの目が義体化されたのは、敵による爆弾の炎に巻き込まれたから・・・

もう・・・( ゚д゚)ポカーン

こいつら・・・何やってんの・・・

公安9課としての統制や役割が明確になっていません。各方面のスペシャリストを集めたチームのはずですが、ただの銃乱射集団に成り下がってます。

「攻殻機動隊」の醍醐味は、情報戦にあります。

そして、荒巻課長による政治的な駆け引きも要素として大きいのです。

ですが、ハッキングもしない、政治的な状況も見えない、義体化も満足にされていない・・・の散々な仕様になっています。

そもそも、世界観の設定で義体化が「珍しい」状態なのです。

人はネットワークを脳につなぐことはしていますが、身体を義体化するまでに至っていません。

ですから前提として、「人間の定義、或いは生命体としての定義の喪失」というテーマにたどり着かないのです。

最後に

あまりに酷すぎて、カオスでした・・・

私は全く受け入れられなかった。

なぜ素直に「アニメ映画版」や、「笑い男事件」「個別の11人事件」という固まったストーリーがあるのに、それを忠実に実写化しない?

オマージュじゃなくていいんです。そのまま実写化して欲しいんです。

いや、実写化しなくていいんですけどね。

実写化するんならちゃんとやれ!

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これはG.W前に、上映が消されていく訳ですわ・・・

辛口ですが、今回はこんなところで。

adios!!