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Milkのメモ帳

日々の思いつきを忘れないようにのメモ用です。

Milk's Memo Note

日々の思いつきを忘れないようにのメモ用です。

ユーザ様のご意見はごもっとも!! しかし、ちょっと技術者の話もさせて欲しい。

日記 IT関連 IT用語解説 ビジネス 考え方

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今日は、ちょっと真面目な話。

昨日の夜にふと、あるブロガーさんの記事を見た。

blog.net-li.com

この方は、実際にシステムを発注する側での意見を書いておられた。

簡単に説明すると、今まで委託していたIT会社が親会社に吸収合併されることにより、人件費が親会社の基準に移行され、発注額が変わるというものだ。それに対して、「ちょっと待ってくれよ・・・」って言う意見。

確かに。私もそれには全面的に肯定する。ユーザ側から見ると、勝手な価格変更になってしまう。今までのサポート体制と変わらないのに金額だけが上がるからだ。理不尽だ。それも分かる。

今回は、技術屋としての意見を少し話させていただきたい。少しだけ聞いて欲しい。

大手SIerの現状

今から言うことは、あくまで私の知る限りの情報だ。だから、IT業界全体について話が出来る自信はない。

各大手のSIerは成り立ちが様々であるからだ。

これから話すことは、主に国内の電気メーカー系のSIerについてだ。

ソフトウェアはハードウェアの付属品だった

元々は、大手の電機メーカーはコンピュータを作ることに熱心だった。

メインフレームと呼ばれる専用機や、サーバ系の大型コンピュータ。

そもそもが、電機メーカーなのだからそういったハードウェアを作ることを主眼に置いてしまうのは当然である。

ただし、ここで勘違いを犯してしまう。

ソフトウェアは、ハードウェアを制御する付属品であると考えたのだ。

これによって、ソフトウェア技術者はかなり差別的な扱いを受けることになる。

ハードウェアは1台売れるごとに、かなり大きな金額が動く。そして、1台いくらという計算もしやすい。何台売れれば、いくら儲かるかが分かりやすいと言った方がいいだろうか。

これに対し、ソフトウェアは形が見えない。また、コンピュータの黎明期にはソフトウェアの自由度は低かった。

しかし、時が経つに連れ、マシン性能が上がったこともあり、ソフトウェアの自由度は上がった。それにより、ソフトウェア、つまりシステム単体での売買が成立するようになったのだ。

ただ、電気メーカーとしてはソフトウェアの重要度を認識出来なかった。

語弊があるかも知れないが、ソフトウェア技術者を工場のライン工と同じ扱いにしてしまったのだ。つまり、ソフトウェアを作る工程を、今までのハードウェアを作る工程と同じと考え、コンピュータを組み立てるライン工と同じように、システムを作るソフトウェア技術者の単価を下げようと考えた。

これにより、一気に本体の中からソフトウェア技術者を放出し、子会社化することで人件費を下げることにしたのだ。

この時点で、先を見通す力はなかったことになる。

下克上が始まる

ハードウェア、つまりメインフレームや大型コンピュータは、確かに大きな金額が動く。しかしながら、それほど頻繁に購入するものでもない。

それに、性能が上がったからこそ、ソフトウェアでの様々な機能実現が可能になった。

今までは社内で利用する目的だったものが、お客様が相手にする”お客様”を対象としたサービスを提供する必要が出てきた。

つまり、システムを構築するということが主眼におかれるようになってきたのだ。

また、昔ほど大型コンピュータを絶対に買わなければならないというわけでもなくなった。普通のデスクトップPC等でもマシンの能力が高くなってきたからだ。

つまり、ハードウェアだけで稼ぐことが難しくなってきた。

これにより、各メーカーは幅広く扱っていたラインナップを縮小、あるいは撤退せざる負えなくなった。

サーバ等のハードウェアで生き残っているところは、数えるほどしかいない。また、実はOEM(外部委託)で互いに中身は一緒で、外側だけ違うなんてこともありうる。

今まで、軽視してきたソフトウェアの重要性に、やっとこの時点で気づき始めたのである。

もう一度ソフトウェア技術者を社内に引き込む

今更ながら、各メーカーはソフトウェア技術者の重要性に気づいた。

今後は、システムによって稼がなければならない時代に入ったと言うことを1週遅れて知ることになったのだ。

この下克上の象徴的な例がある。

日立製作所が倒産寸前に陥ったことを、皆さんは知っているだろうか。

toyokeizai.net

今はかなり絶好調な日立だが、数年前は大赤字を出して、本当に死ぬかも知れないと言われた時があった。

この日立の傘下には、「情報・通信システム」と呼ばれる子会社のグループがあった。所謂、SIerである。

  • 日立ソフトウェアエンジニアリング
  • 日立システムアンドサービス
  • 日立情報システムズ
  • 日立電子サービス

などがあった。特に日立ソフトは独自の路線を行っており、社長自らが「親が出来ないことをすることが親孝行だ!」とソフトウェア技術者としての下克上を始める。

私も実際に社員に会ったことがあったが、名刺を渡され、「私達は日立ソフトウェアエンジニアリングです。日立の名前はいらないと思っています。」と断言した。

それほどまでに、これら「情報・通信システム」グループは独自で顧客を開拓し、利益を十分にあげていた。そして、技術者としての誇りを持っていたのだった。

ただし、”利益”に目をつけた日立製作所は、これらを完全に自分たちの傘下に収めようとした。

これら「情報・通信システム」グループの会社を再編し、株式を買い取り完全子会社化した。

現在、これらの会社の名前は存在しない。

日立ソフトと日立システムアンドサービスは合併し、日立ソリューションズに。

日立情報システムズと日立電サは合併し、日立システムズとなった。

各々のミッションはこれまでと変わらず、日立ソリューションズは、大規模案件のSIer。日立システムズは、中小企業を対象としたSIerとシステム保守となった。

この完全子会社化し、連結での決算により日立製作所は息を吹き返すことになる。

そして、事業の軸を「情報・通信システム」に変化させる。

現在では、日立ソリューションズを縮小し、日立製作所の中に吸収しつつある。

正に、今まで差別を受けてきたソフトウェア技術者たちが、勝利を持って凱旋した瞬間である。

最後に

最初に紹介したブロガーさんの会社が、このような経緯をたどっているかは分からない。

一応は一つの例だ。

しかし、本社への吸収合併とは、今まで差別を受けてきたソフトウェア技術者たちの、地位の復興と確立を象徴している現象とも言える。

ただし、ユーザ様にとって人月単価が上がってしまうことは大問題だ。(人月とは、何人でやると何ヶ月かかる仕事か?という単位。例えば、10人月の場合、1人なら10ヶ月。10人なら1ヶ月で終了する仕事だ。)

こんなシステム屋の社内での紛争は、お客様にとっては何も関係ない。

だからこそ、ブロガーさんが指摘してくださった内容は、私としても何も否定は出来ないし、する気もない。

だって、「高くなった」という事実しかないのだから。

ただ裏側には、そういった我々ソフトウェア技術者が、日々格闘し続けた時間があったということを、少し覚えていて欲しいと思う。

JP1によるセキュリティ統制の実践ノウハウ

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