こんにちは。Milkです。
ある面白いニュースが入ってきました。
米連邦通信委員会(FCC)は21日、通信会社などインターネット接続会社にネット上のコンテンツを平等に扱うよう求める「ネット中立性」の原則を撤廃する方針を発表した。
追加料金を払った動画配信業者のコンテンツの通信速度を引き上げるなど、扱いに差をつけるのを認める。
接続会社の裁量範囲を広げて収益を高め投資を促す目的だが、不公平な扱いを受ける可能性があるネット企業は反発している。
参照:米、「ネットの中立性」撤廃 コンテンツの扱い格差容認 (写真=AP) :日本経済新聞
プロバイダの自由が認められる
今回の記事を要約すると、プロバイダが通信速度に対して自由に操作をすることを認めるということです。
これは、インターネットの主導権をプロパイダが奪還する絶好のチャンスとも言えます。
当然ながら、Google、Facebook、Amazon、Netflixなどが加盟するインターネット協会は、「ネット接続会社はその立場を利用してウェブサイトやアプリを差別してはならない」として、猛反発しています。
何が起こりうるか
インターネットを支える回線網。これは当然ながらプロバイダが提供しています。
この回線の補修や強化は、プロバイダが自費で維持をし続けているのです。
今回の米国での判断は、プロバイダが利益を上げ地方の通信網の活性化を図るというのが「真の目的」です。
しかしながら、これは土管屋と揶揄されてきたプロバイダが、自分たちの思うように通信速度を認めるということになり、自分に有利な形で利用を許可することになります。
例えば、プロバイダの傘下にある動画配信サイトは特に通信速度を上げ、他の動画サイトは通信速度に制限を設ける。
あるいは、通信速度を段階的に用意し料金体系を組み替える。
つまり、インターネットの主導権を自分たちに取り戻し、その上で動作する者たちを制御する立場に返り咲くということを意味します。
よって、Googleなどは反対しているのです。
例えばの話。とあるブロバイダがMicrosoftと提携をしBingを優遇したとしましょう。
こうなれば、Googleは意図的に通信速度を落とされ、不満を持ったユーザーはBingの利用率が高まる可能性があります。
特に米国では、Bingの検索精度は日本と比べ物にならないほど高いと言われています。
これは十分に有り得る話です。
いち早くMicrosoftがAT&Tなどと提携を行えば、Googleの利用率が下降していく可能性があります。
また、プロバイダが提供する動画配信サイトの通信速度を優遇した場合、Youtubeなどの動画配信サイトは劣勢に立たされるでしょう。
同じ速度を出すためにはプロバイダに使用料を払う必要性があるかもしれず、これは課金と言う形でユーザーに跳ね返ってくる可能性も否定できません。
このように、インターネット上のフィールドプレイヤーは、プロバイダの支配下に置かれる可能性が出てきたのです。
プロバイダは主導権を「奪還」した
そもそも通信網を整備して、そしてそれを利用してもらうというビジネスモデルを構築したのはプロバイダです。
だからこそ、このインターネットの世界を支配していたのは、もともとは「プロバイダ」だったのです。
ですから、プロバイダはネットワークを利用している業者(例えば携帯電話を作成する電機メーカー)に対して高圧的な態度を取ることが出来ましたし、ネットワーク技術についてもプロバイダが先を行っていたのです。
ネットワークは自分たちの物でしたから、そこで展開するコンテンツも自前の物で占拠することが出来ました。
ここで「検索サイト」と言うものが成長し始めました。
これは直接的に自分たちを攻撃するものではなく、ネットワークの利便性を上げるものでしたから、互いにWin-Winの関係だったのです。
しかし、「iOS」と「Android」が現れます。
これは、あっと言う間に普及し、プロバイダの自前コンテンツを虐殺していきました。
遂に、プロバイダは通信網を提供するだけの立場に追い込まれたのです。
ですから、この通信速度の制御権を獲得したのは、自分たちの地位の「奪還」だったのです。
プロバイダは「ロンギヌスの槍」を得たのか

これは本当に大きな問題になるでしょうね。
プラットフォームを提供する側。そして、そこのフィールドプレイヤー。
どちらが主導権を奪えるのか。
「インターネットはオープンで公正であるべき」なのか、「プロバイダ同士の競争を促すことが必要」なのか。
プロバイダは、フィールドプレイヤーを支配下に置く「ロンギヌスの槍」を得たことになるのか・・・
しかしながら、Googleはネットワーク通信網を広げるという研究も行っています。
あくまでもプロバイダに、緊急時の通信網を維持するための手段を提供する研究であるとしていますが、今回の「中立性撤廃」はGoogleの方向性を大きく転換させる可能性があります。
恐らくは、対抗処置の手段を着々と準備しているでしょう。
最後に
私の立場からすると、プロバイダに主導権を握られるのは嫌です。
彼らがやってきたことは、自分たちの立場を固めることに終始してきました。
AT&Tはかつて、「ベル研究所」という最先端の研究所を持っていました。
(現在は、NOKIAの傘下にあります。)
現在の電話、そしてコンピュータ(UNIX)を作ったことで有名な研究所です。
しかし、それも過去の話。
彼らはICT技術の発展ではなく、自分たちの通信網を守ることに必死になり、イノベーションを起こすことが出来なくなりました。
これは日本でも言えることです。
ですから、AppleやGoogleに駆逐されることになったのです。
我々は、プロバイダから開放され、自由にサービスを生み出したい。
そのように感じます。
少なくとも、インターネットは公平でオープンな場所であって欲しいと願います。
それでは、今回はこの辺で。
adios!!