最近、アニメ化したことでも注目されましたね。
私も、アニメの方は途中まで見ていたんですけど、途中から見忘れてしまいました。(アニメについては後述します。)
ですので、小説の方が情報量が多く面白いに違いない!と信じ、アニメを見るのではなく原作小説を買いに行ったのです。
さて、森博嗣さんの処女作にあたるらしいのですが、読み終わった感想としては・・・
感じたこと
微妙・・・ 色々と言いたいことはあるのですが、感想としては・・・
微妙!! それが率直な感想。私としては肩透かしを食らった感じです。
レビューでは結構いい感じの感想が多かったのに・・・ うーむ。
後ですね。この小説の弊害として、タバコが吸いたくなります。
私自身は病気をしてから禁煙生活なんですけど、主人公が24時間タバコを延々と吸い続けるチェーンスモーカーであるがために、読みながら
くっそぉー!!タバコが旨そうだ!! Marlboro吸いたい!
となります。禁煙している方。よく注意して読みましょう。(笑)
概要
N大学工学部建築学科・助教授の犀川 創平と、そのN大学1年生である西之園 萌絵が主人公及び、ヒロインである。
(N大ってなってるけど、作者が名古屋大学の助教授らしいんで、そのままじゃん!って突っ込みたくなる。)
犀川は聡明な頭の持ち主ではあるが、大学の日々の雑務に追われ、無駄な作業と分かりながらも、それをこなす毎日を受け入れようとしていた。
彼には尊敬する人物がおり、その人と一度でも良いので話がしてみたいと願っていた。その人物とは真賀田 四季である。四季は10代の頃から天才プログラマとして有名であり、幾つもの論文を発表している人物である。
犀川は彼女を真の天才であると思っている。
しかし、四季は14歳の時に両親を殺害したのである。彼女は心神喪失状態と判断され、今はとある無人島に隔離された状態で研究を続けているらしい。そこには、四季の叔父が所長を務める、真賀田研究所が設立され、有望なコンピュータ・サイエンスの若者たちが集って研究を続けている。
萌絵は犀川の大学時代の恩師の娘である。(西之園教授の娘)
この度、萌絵は親戚のコネクションを利用して、真賀田研究所を訪問する機会を得る。犀川のゼミ生と共に合宿として、真賀田研究所のある無人島にキャンプを行うことになったのだ。
犀川と萌絵は、真賀田研究所の中を案内してもらうが、その時に事件は起きる。
両親殺害から15年もの間隔離されていた四季の部屋が突然に開き、殺された四季の遺体が自動移動式ワゴンに乗って運ばれて来たのである。
彼女が利用していたPCには意味深な文言が残されていた。
「すべてがFになる。」
15年間隔離された密室で、どのように四季は殺されたのか。
部屋の扉から出てきたのは四季だけであり、犯人はどのように逃げたのか。
すべてがFになるとはどういう意味なのか。
犀川と萌絵は、四季との過去のやりとりから、少しずつ謎を紐解いて行くのである。
といった感じでしょうか。
感想(ネタバレ含む)
これはトリックを聞くと、あぁ・・・まぁ・・・そうね。そりゃそーなんだけど。うん・・・
って感じになった。
「すべてがFになる」というのがキーワードなのだが、これがミスリードを誘うほどの威力を持たないのである。
犀川や萌絵が最初連想するのは、Finish、Final といった言葉の広がりである。でも、そうつぶやくだけであって、謎を解き明かすためにそれを利用してみるといった行動はとらない。そのため、読者としては、自分も想像出来る範疇の回答であり、そうじゃないんだろうなーって早々から選択肢から除外する。なので、「すべてはFになる」という言葉に重みが感じられないのだ。
結論を行ってしまうと、Fとは16進数のFだ。
研究所を管理するコンピュータ(Red Magic)のプログラムの中で、時間をカウントしているプログラムがあり、特定の時間になった時に、扉を開いたり、明かりを消したり、時間の修正を行い監視カメラのログを一部削除したりといった挙動を行ったということなのです。
その時間をカウントしているのがF。16進数は16で1桁上がることを数える方法です。皆さんが普段使用しているのは10進数。1から9まで数えて、10になると位が1桁上がりますよね?
16進数とは、1〜15までを数えて、16で1桁位を上げる方法です。でも10〜15までを1桁でどうやって表すのでしょう? それには、アルファベットを使います。
つまり、1、2、・・・8、9、A、B、C、D、E、F となるのです。
コンピュータの世界では、0、1、の2進数が利用されますが、これと相性が良く人間も分かりやすい(ずらずらと長く書かれるよりもコンパクトと言う意味)16進数に置き換えて数えるということが行われます。
今回は、「FFFF」という時間(65535時間)を数えているプログラムがあり、その時間きっかりに予定されていた別のプログラムが実行された。その隙に、犯人は逃げたということです。
ですが・・・ これ、なんか納得行かないんです。これを有りにすると、最初からプログラム仕込んでたから出来ました!みたいな話になって、何でもありじゃね?って思うのです。
しかも、実際に殺害されたのは四季ではなく、四季の子供でした。14歳で隔離されたため、15年経ったあと(実際は15歳の四季の子供)とTV会議を行っても、誰も分からなかったというのです。子供は四季と所長の間の子でした。
本来の計画では、子供に自分を殺させる予定でしたが、何らかの理由によりそれが実行されませんでした。(本ではあまり言及されていませんでした。)
しかも、殺させるために15までの数字しか教えず、人間は15で死ぬのだから自分を殺すようにと教えこませたらしいのです。(ここが謎です。だって四季は29歳または30歳になってますよ?)
なんだか説得力に欠けます。
結局、予定通りには進まず、自分ではなく子供を殺し自由になることを選択します。
そして、外の世界に消えて行ったのです。
という終わり方です。
おい! 四季はいったい何がしたかったんや!
「すべてがFになる」の中では、四季は真の天才であって、凡人には理解し難い行動をとっているというニュアンスで書かれています。なので、四季は一体全体何がしたかったのか、何を考えていたのかという内容が薄いのです。(個人的には、トリックに気持ちが行き過ぎて、人物の描写が薄くなってしまったんじゃないの?と思います。)
どうやら、この本の後に四季シリーズというのがあるらしいので、ここで詳しく話されているのかもしれません。
アニメ版:すべてがFになる
さて、今度はアニメです。
これは、まぁまぁ良かった! 原作より数倍いいです。
寧ろ、こちらをお勧めします。
納得行かない部分(特に四季の感情や行動)が丁寧に補完されています。
そして、四季が殺したのではなく、子供は四季の意思を理解出来ずに自殺したということになりました。
私としては、こちらの方がしっくりきます。
また、副所長の山根という人物がいるのですが、アニメ版では殺害されません。原作では、「すべてがFになる」というトリックを、脱出が完全に完了する前に解き明かされたため、四季に消されてしまいます。
え・・・天才じゃないじゃん・・・って総突っ込み入れたくなるのですが、この部分を上手く修正しましたね。
最後に
ということで、この著者の本は、もうあまり読む気がしないのですが、「すべてがFになる」のアニメはオススメですよ!!
EDの音楽が超好き。曲、買っちゃった・・・(´艸`)
今回はこの辺で。
adios!!