Milkのメモ帳

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IBMがマクラーレン・ホンダのデータ解析(コグニティブIoT)を開発


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https://www.as-web.jp/f1/1558

f1-gate.com

この記事を見た時に思ったこと。

「してやられた・・・」

HONDAだけで構築するのは難しいと踏んでいたが、IBMが絡んできているとは思っていなかった。

IoT

「Internet of Things」の略であり、あらゆるものがインターネットに繋がる世界という意味であることは以前の記事で書いたと思う。

www.milkmemo.com

このHONDAの記事にかなり個人的に反応しているのは、F1などのモータースポーツはIoTの最前線であると言うことが明白であったからだ。

モータースポーツはITの最前線

現在のF1は、昔のようにドライバーの感覚に全て頼るということはしていない。

寧ろ、どれだけの量のデータを収集し、瞬時に解析し、ドライバーにフィードバックするかということが大事になってきている。

無線指示のルールで若干揉めていはいるが(ドライバーに必要以上の情報を与えてはならないというルール)、一時期はブレーキングポイントやブレーキの温度、スタート時のクラッチポイント、燃料の量やPU(パワーユニット)の温度や回転数と言った情報までもドライバーに指示をしていた。

また、各センサーから得た情報を総合し、F1マシンの異常値を検出した場合に、戦略を即時に変更。またはマシンにダメージを与えないために、リタイアを判断するということまでする。

さらに、F1マシンの情報だけではない。天候についての情報も大事だ。雲の動きを見て、雨が何分後に降り始めると判断し、レインタイヤに履き替えるタイミングを計算する。ピットインするのはタイムロスに直結するので、一か八かノーマルタイヤで続行するという判断もある。このためには、正確な天候のデータ収集も必要だ。

また、サーキットシミュレーションも必要になる。各サーキットの特性をインプットし、現段階のF1マシンの走行シミュレーションを行う。そして調整をし、実際のサーキット走行との差分を計測する。ドライバーを育成するためにも、走行シミュレーターが必要だ。

サーキットでデータは収束しない

これらデータの解析は、サーキットでは行っていない。

日本のサクラ研究所にデータは瞬時に送信され、モニタリングしている。そして、データの分析結果を随時、サーキットに送り返しているのだ。

つまり、もうF1はサーキット上のチームの闘いではなく、世界規模での情報戦となっているのである。

いかにITがモータースポーツの根幹をなしているかという点をご理解いただけたかと思う。

IoTの戦略

この流れはIoTの形そのままだ。

  • 大量のデータを収集し続ける
  • 即時にデータの解析を行う
  • 解析結果に基づき予測及び計画修正を行う

IoTとはここまでセットになって初めて効果が表れる。データを集めてグラフ化する程度は、今までのデータ収集と何も変わらない。

今回、IBMは「コグニティブ・コンピューティング」をデータ解析の中枢に持ってきた。彼らはAIとは言っていないが、それに近い物だ。もはや人間の目で見ての解析スピードでは追いつかないということだ。

そりゃそうだ。F1というモータースポーツは、0.数秒で勝敗を分けるスポーツだ。前の車とたった1秒離れただけで、もう追いつくことは諦めるほどなのだ。それほどに時間に厳しいスポーツだ。判断が遅れれば刻々と引き離されていき、もう二度と追いつけない。

そのためには、いかに早く状況を把握し、分析し、フィードバックを行うかが大事であり、IoTの目指す理想的な環境であるのだ。

ここを征すれば、他の分野のIoTの応用も楽になるだろう。これほどまでに時間にシビアな環境はないのだから。

だからこそ、この部分をIBMが開発した意味は大きい。そして、「コグニティブ・コンピューティング」であるワトソンを投入してデータを解析する力をフルに発揮することは、他のSIerにとって大いに牽制になるだろう。

最後に

私がかなり悔しい思いをしているのは、国内SIerはHONDAとの共同開発をあらゆる分野で行ってきただろうという点だ。

もちろん私の会社もその中の一つだ。だからこそ悔しいのだ。

私はずっと、F1のデータ解析自体はIoTをそのまま体現していると主張し続けたし、会社としてもその分野に参入して欲しかった。

しかし、これは平社員のぺーぺーが何を言っても、下っ端の戯言で終わりだ。

自分の勘は間違っていなかった。そして、IBMにガッチリと取られたことに自分自身本当に悔しいのだ。

IoTという言葉だけに踊らされ、本質として何をすべきかという点を見失っている。

大事なのは、データ解析能力とフィードバックだ。この経験を蓄積させる場として、最適なのはモータースポーツだと個人的には思っていたのだ。これほどまでにシビアな環境で、システムが構築出来れば、他の分野への応用はしやすくなる。

このままでは国内SIerは、クラウドと同じ轍を踏む。

”クラウド”という言葉に踊らされ、トレンドに引き離されまいとして、意味のわからないデータセンターを立てまくったりする暴挙に出た。

クラウドとはあくまで概念であり、大事なのは”クラウドビジネス”だ。どうやってシステムとして収益を生むかなのだ。

またも同じ間違いを犯そうとしている。

私はそう思ってならない。


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