参照:トロロッソ 「ホンダF1のワークスパートナーという“大きな責任”がある」 【 F1-Gate.com 】
前回は、ルノー、フォース・インディア、ザウバーをご紹介しました。
2018年に出走するチームは以下の通りです。
ドライバー | チーム名 | シャシー名 | PU名 |
---|---|---|---|
ロマン・グロージャン ケビン・マグヌッセン |
HAAS F1 TEAM |
HAAS | フェラーリ |
フェルナンド・アロンソ ストフェル・バンドーン |
MCLAREN F1 TEAM |
MACLAREN | ルノー |
ルイス・ハミルトン バルテリ・ボッタス |
MERCEDES AMG PETRONAS MOTORSPORT |
MERCEDES | メルセデス |
ダニエル・リカルド マックス・フェルスタッペン |
ASTON MARTIN RED BULL RACING |
RED BULL RACING | タグ・ホイヤー |
ニコ・ヒュルケンベルグ カルロス・サインツ・ジュニア |
RENAULT SPORT FORMULA ONE TEAM |
RENAULT | ルノー |
セルジオ・ペレス エステバン・オコン |
SAHARA FORCE INDIA F1 TEAM |
FORCE INDIA | メルセデス |
マーカス・エリクソン シャルル・ルクレール |
ALFA ROMEO SAUBER F1 TEAM |
SAUBER | フェラーリ |
セバスチャン・ベッテル キミ・ライコネン |
SCADERIA FERRARI |
FERRARI | フェラーリ |
ピエール・ガスリー ブレンドン・ハートレー |
RED BULL TORO ROSSO HONDA |
SCUDERIA TORO ROSSO |
ホンダ |
ランス・ストロール セルゲイ・シトロキン |
WILLIAMS MARTINI RACING |
WILLIAMS | メルセデス |
今回は、フェラーリ、トロ・ロッソ、ウィリアムズをご紹介します。
SCADERIA FERRARI(フェラーリ)
「跳ね馬」
これで誰もが分かる高級車ブランド。「フェラーリ」
イタリアを拠点とする、F1の中でも伝統あるチームです。
フェラーリが圧倒的な強さを見せつけていたのは、皇帝(カイザー)と呼ばれるミハエル・シューマッハがドライビングしていた時代でしょう。
F1ドライバーが一度は乗りたいと考えるマシン。
しかしながら、ここ数年は3強と呼ばれながら、なかなか頂点に立つことが出来ずにいます。
レッドブルの時代が到来し、今は圧倒的な強さでメルセデスがF1を支配しています。
昨年は、PU等のマシン改良が進み、レッドブルより前を安定的に確保。
そして、メルセデスと上手く絡める時もありました。
今年こそは、メルセデスと肩を並べたいところです。
SF71H
参照:【画像】 フェラーリ SF71H | F1-Gate.com
これぞ、フェラーリ。
昨年は、シャークフィンの大きさもありましたが、ホワイトを取り入れながらのカラーリングでした。
しかし、今回は一転。フェラーリを象徴するレッドで染め上げました。
また、ホイールベースも昨年よりも長くし、メルセデスの「ディーバ」の傾向に近くしたようです。
サイドポッドの位置は高めにセッティング。
このサイドポッドを高い位置に持ってくるというトレンドを作り出したのも、フェラーリでした。
一昨年から大きく改善した昨年のマシン。
これをベースにし、更に改良を続けていった正統派の進化型マシンと言えるでしょう。
ドライバーからリアウイングにかけての部分は、美しくタイトに絞り込んでいます。
昨年のPUは大きくトラブルを出すことはありませんでした。
上手く冷却も行っているのでしょう。
今年のレギュレーションでは、PUを平均して7戦は使わなくてはなりません。
昨年よりも更にトラブルが無いように改良を行う必要が出たのですが、水冷のシステムを内部に取り込み冷却するようシステムを作り直したようです。
もちろん、他のPUメーカーも独自のアプローチで熱による損傷問題を解決していることでしょう。
開幕前のバルセロナ・テストでも安定した走り。
しっかりとプログラムをこなしデータ取りも十分で、かつスピードも上位で余裕を見せつけるという状態でした。
ただし、メルセデスはスピードを確認するのではなく、周回を重ねることに重視。どこまで予選アタックの時に力を出すのか未知数です。
今年こそ、王者奪還となるか?!
ドライバー
参照:2018年 F1ドライバー レーシングスーツ 【 F1-Gate.com 】
- セバスチャン・ベッテル(右側)
- キミ・ライコネン(左側)
ハミルトンを倒すとすれば、まず挙げられる候補は「セバスチャン・ベッテル」でしょう。
彼は、レッドブルに在籍していた時にF1チャンピオンに登りつめています。
その後、フェラーリに移籍。
レッドブルとどのように闘うのか?!と思われていたのですが、ガツンとその2つのチームを打ち砕いたのはメルセデス。
ハミルトンとロズベルグのデッドヒートの展開に。
ベッテルは蚊帳の外になってしまいました。
彼は素直にドライビングするタイプで、しっかりとマシンの感覚をエンジニアに伝え、着実にマシンにフィードバックをさせてきます。
今年は、ボッタスは確実に抑えるとして、ハミルトンの肩を掴むことが出来るか・・・
「シルバーウルフ」の異名を持つ、北欧出身のキミ・ライコネン。
前にマシンが走っていると、自分のレースペースが上がるという特殊能力の持ち主(笑)
彼はF1チャンピオン経験者ではありますが、その後は成績が低迷。
長きに渡りフェラーリに在籍はしていますが、パートナーの2番手に甘んじています。
フェラーリの会長からは、今年で成績が残せなければ、キミ・ライコネンをフェラーリの育成ドライバーと交代すると宣言されて崖っぷち。
彼の「ウルフ」が復活するのかが見どころです。
RED BULL TORO ROSSO HONDA(トロロッソ)
レッドブルのBチームとしての使命を帯びたチーム。
それが、スクーデリア・トロロッソ。
イタリア語で、スクーデリアとは「チーム」
そして、トロは「雄牛」、ロッソは「赤」を表します。
つまり、レッドブルのイタリア語なのです。
レッドブルが優勝を勝ち取るチーム。そして、トロロッソはレッドブルの育成ドライバーがF1で経験を積むチームとして分かれています。
この関係の驚くべきところは、ドライバーは「レッドブル」と「トロロッソ」に対して同時に契約を行います。
シーズン中でも、レッドブルのドライバーが成績不振に陥ると、トロロッソで活躍しているドライバーと交代することがありうるのです。
さて、トロロッソはレッドブルの完全な支配下にあるかというと、それはまた少し違います。
トロロッソの設立以来、チームの明確な方針は「レッドブルの育成ドライバーを強化する」の一つだけ。
よって、トロロッソはPUをレッドブルとは別々のものを使うこともあります。
また、シャシー開発のファクトリーもレッドブルとは別に持っています。
かなり小規模なチームで、資金的にレッドブルから援助はあるとは言え、潤沢にあるわけではありません。
しかしながら、彼らは彼らなりのやりくりで、中団の中で常に存在感を示してきました。
今年、劇的に変化するのは、ホンダのワークスチームとなること。
レッドブルは、トロロッソにホンダ製PUを搭載させることで、来年以降のPUをどうするか検討するようです。
STR13
参照:トロロッソ 「ホンダのF1パワーユニットの性能向上を感じている」 【 F1-Gate.com 】
昨年は、ルノー製PUを搭載していたトロロッソ。
ホンダはマクラーレンとの提携を解除し、トロロッソと3年の契約を結びました。
つまり、ホンダ製PUを搭載するのはトロロッソのみとなり、実質的に「ワークスチーム」として参戦することが可能になりました。
この合意は昨シーズンのかなり後半になって実現したため、シャシーの設計変更に少々手こずることになりました。
しかし、トロロッソを率いるフランツ・トストは、「毎年のことだ。」ということで、気にしていない様子。
そうなんです。
トロロッソは、毎年PUの搭載に悩まされてきました。
ルノー製PUになったり、型落ちのフェラーリPUを搭載したり・・・しかも、その契約が決まるのはシーズン後半。
普通、シーズンの中盤には既に搭載するPUは決め、シャシーの設計に入ります。
それがどんどん押されて、スケジュールはキツキツの状態だったのです。
しかしながら、最下位になることなく柔軟に対処してきました。
また、カスタマーチームであることもあり、PUのデータを開示してもらうことが出来ませんでした。
自分たちのオーダーをPUに反映させることも出来なかったのです。
それが一変。ホンダは提携直後から、トロロッソと親密に連携を始めます。
トロロッソはホンダに対し多くのオーダーは出さなかったようです。ホンダの実現したいPUを完成させ、それにシャシーを適合させるという今までの作業を実施。
しかし、ここからが違います。共同で開発を行う中で、相互にPUとシャシーの相性を合わせていくという作業に着手。
バルセロナ・テストでも、PUのデータを全てトロロッソに開示しました。
このデータを元にして、シャシーのブラッシュアップを計画的に行うことが出来ます。
車体は、昨シーズンのマシンをベースにし、他のチームのトレンドを上手く取り込んだ形に落ち着きました。
ですが、これからホンダのデータを見ながら、シャシーパーツのグレードアップを計画しているようです。
更に良いことに、既に2019年を見据えてのシャシー及びPUの検討に着手。
トロロッソは遂に、安定したPUの供給元を確保することが出来るようになりました。
ホンダ製PUは昨シーズンの最終型(スペック4)をベースにして開発を進めたようです。
とにかく、第一目標に掲げたのは「信頼性」
使用数制限のレギュレーションに対応するため、パワーを上げることは二の次にし、信頼性(故障発生がないようにする)を上げることに終始しました。
面白いことに、ホンダ製PUをマクラーレンからトロロッソに載せ替えただけで、パワー(馬力)の向上が見られたようです。
そして、バルセロナ・テストでは、ホンダ製PUは大きなトラブルを抱えることなく、チーム別では3番目に多い周回数を重ねて安定性を示しました。
残りの課題は、パワー。
これも、段階的にPUの交換時期にアップグレードをかける予定です。
ドライバー
参照:トロロッソ・ホンダF1イベント密着:タブーと思われた『アロンソ』に関する質問にも白熱議論
- ピエール・ガスリー(右側)
- ブレンドン・ハートレー(左側)
昨シーズンの終盤には、この2人の体勢に固まりました。
トロロッソは、ポイントゲッターであるサインツをルノーにレンタルで貸し出され、レッドブルから降格してきたダニエル・クビアトにマシンを散々に破壊され、踏んだり蹴ったりの状態でした。
ガスリーは、若手のドライバーですが、多くのカテゴリーで力を示してきました。
2016年はGP2でチャンピオンになり、昨年のスーパーフォーミュラでは、最終戦が台風で中止となったために0.5ポイント差という僅差で2位となりました。
レッドブル首脳陣は、十分にF1で闘えると判断し、彼をトロロッソに迎えることを決定。
今年はF1にフル参戦します。
ブレンドン・ハートレーは、レッドブルの育成ドライバーでありながら、その枠から外されるという経験の持ち主。
その後、彼は独自の道で力を示すことに専念します。
昨年は、ポルシェでル・マン24時間レースを制し、WECチャンピオンを獲得するという偉業を達成。
28歳という遅咲きのドライバーですが、数々のカテゴリーを経験したことでスキルアップが十分にされたようです。
彼自身も、「必要な経験だった。」と語っています。
彼らの関係も良好。お兄さん肌のハートレー。弟のようにやんちゃなガスリー。
このコンビで、トロロッソは中団を制することを狙います。
WILLIAMS MARTINI RACING(ウィリアムズ)
古豪。そう言われて何年経つでしょう。
あの伝説のウィリアムズはどこへ行ってしまったのか・・・
マンセル。セナ。
数々の名ドライバーがチャンピオンを狙うために在籍したチーム。
しかし、ここ数年は表彰台に乗ることすら困難。
中団の中でも、後方に位置することもしばしば。
同じメルセデス製PUを搭載する、フォース・インディアに遠く及びません。
PUは問題がないはず。と言うことはシャシーの設計に問題があることになってしまいます。
昨年まではフェラーリに在籍していたこともあるフェリペ・マッサがドライビングしていましたが、ウィリアムズを中団の覇者にすることすら出来ませんでした。
ウィリアムズはこのまま存在を消してしまうのか・・・
FW41
参照:マルティーニ、今季末でウィリアムズとのタイトルスポンサー契約を終了 【 F1-Gate.com 】
メルセデスの3連覇に大きく貢献した、パディ・ロウ。
昨年から、ウィリアムズに移籍しシャシーの設計を行っています。
フェラーリやメルセデスの設計思想によく似たシャシーに出来上がっているというイメージです。
フェラーリがトレンドを作り出した、サイドポッドを高い位置に持つという形も踏襲。
また、ドライバーから後方へPUを収めている部分も、タイトに絞られています。
独自の部分は、小型のシャークフィンに沿ってY字型のミニウィングを付けた点。これが上手く機能するのか。
バルセロナ・テストでは、安定的なペースを示しましたが、特に印象に残るという走りはありませんでした。
これは、マシンのせいなのか、それともドライバーの腕のせいなのか・・・
やはり意識せざる負えないのは、同じPUを搭載してるフォース・インディアでしょう。
彼らの独自の設計思想を守り続けるフォース・インディアと、今のトレンドを踏襲したウィリアムズ。
互いに、バルセロナ・テストでは躍進したようには見えませんが、それは予選モード(一周の最速を狙う)を試していないからか?
各チームでテストの内容が異なるため、一概に今の時点で速さを比較することは出来ません。
果たして、どちらに軍配が上がるか?
ドライバー
参照:ウィリアムズ、シロトキンの起用は「ギャンブルではなく投資」 【 F1-Gate.com 】
- セルゲイ・シロトキン(右側)
- ランス・ストロール(左側)
このラインナップは驚きでした。
なにしろ、シロトキンは19歳。ストロールは22歳なのです。
メインスポンサーであったマルティーニは酒造メーカーであるため、25歳以上のドライバーを希望していたと言われています。
しかし、ウィリアムズはそれを無視。
と言うよりも、他にも多くのF1経験のあるドライバーが候補としていました。
ですが、敢えてシロトキンとストロールを組ませることに決定。
シロトキンには、SMPレーシングというスポンサーが付いており、ウィリアムズに出資。
また、ストロールは父親が大富豪である為に、これもドライバーの席を買ったのでは?と噂されています。
つまり、ウィリアムズは2人ともペイドライバー(スポンサーを引き連れて来ることでドライバーの権利を買う)ではないか?と言われているのです。
また、ストロールの父親によってウィリアムズは買収されるのでは?という憶測まで飛び交う始末。
完全に、彼らのドライビングスキルについて疑問符が付いています。
確実に言えることは、フォース・インディアに対してドライバーという面では完全に敗北は決定でしょう。
では、マシンで補えるのか?
いくら速くても、それをコントロール出来る技量がなければ成り立ちません。
ウィリアムズは、過去のマノーのように資金不足を補う為にペイドライバーを雇ったのか?
その噂を払拭するためにも、結果を確実に出さなければならないという苦しい状態にあります。
最後に
メルセデス・フェラーリ・レッドブルの3強は堅いでしょう。
後は、中団。つまり、コンストラクターズランキングで4位をどこがとれるのかというのが、良い意味で予測不可能になってきました。
ザウバーはとにかく最下位を脱出したい。
しかし、他のチームは中団の中で僅差になっています。
開幕前の予想では、ルノー、ハース、フォース・インディアが4位を取るのではと予想されていますが、ワークスチームになったトロ・ロッソは確実にアップデートをかけてくるでしょう。
また、マクラーレンはトラブルだらけなのですが、一発の速さでいくとバルセロナ・テストでは3位のタイムを出しています。
かなり混戦になることが予想されます。
今シーズンも見どころが多くて楽しみです!
それでは、今回はこの辺で。
adios!!