参照:マクラーレン 「ルノーとのパートナーシップはホンダほど複雑ではない」 【 F1-Gate.com 】
こんにちは。Milkです。
2018年のF1の登録チームが決定しました。
2021年を見据えての戦略も見えたりして・・・楽しみな状態です。
遂に、2018年の登録チーム及び、ドライバーが決定しました。
ドライバー | チーム名 | シャシー名 | PU名 |
---|---|---|---|
ロマン・グロージャン ケビン・マグヌッセン |
HAAS F1 TEAM |
HAAS | フェラーリ |
フェルナンド・アロンソ ストフェル・バンドーン |
MCLAREN F1 TEAM |
MACLAREN | ルノー |
ルイス・ハミルトン バルテリ・ボッタス |
MERCEDES AMG PETRONAS MOTORSPORT |
MERCEDES | メルセデス |
ダニエル・リカルド マックス・フェルスタッペン |
ASTON MARTIN RED BULL RACING |
RED BULL RACING | タグ・ホイヤー |
ニコ・ヒュルケンベルグ カルロス・サインツ・ジュニア |
RENAULT SPORT FORMULA ONE TEAM |
RENAULT | ルノー |
セルジオ・ペレス エステバン・オコン |
SAHARA FORCE INDIA F1 TEAM |
FORCE INDIA | メルセデス |
マーカス・エリクソン シャルル・ルクレール |
ALFA ROMEO SAUBER F1 TEAM |
SAUBER | フェラーリ |
セバスチャン・ベッテル キミ・ライコネン |
SCADERIA FERRARI |
FERRARI | フェラーリ |
ピエール・ガスリー ブレンドン・ハートレー |
RED BULL TORO ROSSO HONDA |
SCUDERIA TORO ROSSO |
ホンダ |
ランス・ストロール セルゲイ・シトロキン |
WILLIAMS MARTINI RACING |
WILLIAMS | メルセデス |
全てで10チームがエントリー。ドライバーは20名。
よって、20台が過去最大のレース数である21戦を闘います。
2018年の見どころ
兎にも角にも、「ホンダ」が台風の目になった状態ですね。
そして、「ウィリアムズ」のドライバーシートが決まらない!と言うのも話題に。
開幕してないのに、これだけ話題が多い年というのも珍しいのでは?(笑)
「ホンダ」がどうなる?!
参照:【F1】 2021年のF1パワーユニットから姿を消すことになったMGU-H 【 F1-Gate.com 】
さて、現在PUを供給している(今は回生エネルギーも利用しているので、エンジンも含めた動力を総合してPU「パワーユニット」と表現される)のは、
- メルセデス
- フェラーリ
- ルノー
- ホンダ
となります。
全部で10チームあるわけなのですが、どのPUを2018年に利用するかというと・・・
PU | 利用チーム数 |
---|---|
メルセデス | 3チーム |
フェラーリ | 3チーム |
ルノー | 3チーム |
ホンダ | 1チーム |
となります。
チームに供給しても良いPU数は決まっていて、最大で3チーム。
均等に3チームずつになっており、ホンダは「レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダ」として、実質のワークスチームとして参戦します。
「レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダ」とは?
参照:トロ・ロッソ、新カラーリングのロゴを公開 【 F1-Gate.com 】
2015年に、伝説の「マクラーレン・ホンダ」として復活をした「ホンダ」
「コンセプト・ゼロ」と呼ばれるエンジンを開発しました。
この「コンセプト・ゼロ」は「マクラーレン」が提案し、目的としてはPUの場所を出来るだけコンパクトにすることで、空気抵抗を少なくしシャシー(簡単に言うと車体)の性能を更に引き出すというものでした。
しかし、コンパクト過ぎて、放熱が上手くできずにPUが不具合(オーバーヒート)を起こすということが毎レースで発生。
2015年は完走すら困難な状態でした。
2016年は、「コンセプト・ゼロ」を継承して、更に改良。
放熱の問題もなんとか解消し、中団では先頭になって闘えるほどになりました。
ですが、ここでまた問題が発生。
2017年シーズンを迎える前に、「マクラーレン」を率いてきたロン・デニスが実質解雇に。
ロン・デニスは伝説の「マクラーレン・ホンダ」時代を築き上げた人物であり、近年のマクラーレンの成績低迷を打開するため、再度ホンダにF1への参戦を打診した人物でした。
「マクラーレン」は、ロン・デニスの「古い」やり方に反発。また、ロン・デニスが「ホンダの成長を待つ必要がある」と擁護しましたが、スポンサーが離れていく状態に我慢できず、最後には実質の解雇となりました。
もちろん、2017年はホンダが「コンセプト・ゼロ」の限界を感じ、PUの再設計を行うことで問題が多発したことも破滅の原因ではありますが、マクラーレン内部抗争が表面化し排除することで、如実に「マクラーレン・ホンダ」から「マクラーレン VS ホンダ」という構図になりました。
会見では、両者とも平静を装っていましたが、裏ではマクラーレンはPUをホンダから変更することを一方的に決定。
(2020年までの契約でしたので、ホンダに対して違約金を払うことになります。また、ホンダから毎年50億円以上の資金提供を受けていました。)
そしてあちこちのPU開発メーカー(メルセデス・フェラーリ・ルノー)にPUの提供を打診。
そもそもが、「3チーム縛り」があるためにどのPU開発メーカーも提供を拒否。
遂に他のチームのPUを蹴落とすという作戦に移行。
そのターゲットになったのは、資金不足に陥っていた「ザウバー」だったのです。
「ザウバー・ホンダ」になるように促し、自分はその空きの「フェラーリ製PU」の獲得を狙ったのです。
ですが、ザウバーに強力なスポンサーが現れ、「ザウバー・ホンダ」の契約寸前まで行った話はご破産に。
次に目をつけたのは、「レッドブル」
何故にレッドブル?
今の時点で、3強と呼ばれているチームは、
- メルセデス
- フェラーリ
- レッドブル
です。
メルセデスとフェラーリはワークスチーム(自分でシャシーを設計し、PUも設計する)ですから、強いのは分かるとして、レッドブルはルノーからPUの供給を受けていました。
なぜ、レッドブルが強いのか。
それは、「空力の魔術師」と呼ばれている、エイドリアン・ニューウェイという人物がいるから。
参照:エイドリアン・ニューウェイ、フェラーリからの3度のオファーを語る 【 F1-Gate.com 】
彼の画期的なシャシーは、PUの能力が多少劣っていても、シャシーの力によってポテンシャルを十分に引き出すことが出来ることを証明しました。
しかしながら、ルノーのPUがなかなか安定せず、ホンダまでとは言いませんが、かなりの頻度で不具合を出していました。
完走出来ない。能力が低い。
いくらシャシーの能力が高くても、そもそものPUが故障したら話になりません。
よって、レッドブルはルノーとの提携を打ち切りたいという考えがありました。
なので、搭載するPU名は「ルノー」ではなく、スポンサーの名前である「タグ・ホイヤー」として登録しています。
レッドブルは、ホンダの能力がどれほどのものか試したいと考えました。
レッドブルとトロ・ロッソというチームは姉妹チームと言えます。
実は、ドライバーはレッドブルと契約すると共に、トロ・ロッソとも契約を行うという特殊な条件になっています。
つまり、レッドブルは優勝を勝ち取るチーム。トロ・ロッソは若手を育成するチームとして存在します。
ここで、レッドブルは、先ずはトロ・ロッソにホンダを搭載させ、2018年の状況を見てみようと考えたのです。
レッドブルとルノーの契約は2018年まで。
両者は直接に罵倒し合う状況にまでなった(会見中に名指しで批判するまでに)ので、ルノーは2016年から「LOTUS」と言う老舗のチームを買収し「RENAULT SPORT FORMULA ONE TEAM」というワークスチームとして復活しました。
よって、ルノーは2018年でレッドブルに対してPUの供給をストップすると予想されています。
レッドブルとしても焦っているのです。PUがないと走れないですからね・・・
このような様々な思惑が絡んだ結果、トロ・ロッソは名前を変更。
レッドブルが強く関与しているということを打ち出す意味もあり、「レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダ(RED BULL TORO ROSSO HONDA)」として始動することになりました。
では、マクラーレンは?
「マクラーレン F1 チーム(MCLAREN F1 TEAM)」と名前を変え、トロ・ロッソが放棄したルノーの空き枠に収まるということになったのです。
1シーズンで使えるのは3基のPUまで
現在のF1のエンジンには、それを補助する機能が多く備わっています。
これは、市販車に対して技術を転用出来るようにするため。
- エンジン
- ターボチャージャー
- MGU-H
- MGU-K
- コントロールエレクトロニクス
- エネルギーストア
こんなにも、エンジンの周りには多くの補助する機能が取り付けられているのです。
かなり簡単に言うと、ブレーキングなどによって発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーにチャージし、加速時にその電気エネルギーの補助を使ってマシン速度を早くしようというものです。
所謂、回生エネルギーと呼ばれるものです。
各々の機能を電子制御しなければならず、今まではエンジンを設計すれば終わりだったものが、バッテリーチャージや放出タイミングといったものまで開発し、連動させる電子制御も行わなければなりません。
ホンダは昔から、「電子制御に弱い」と言われてきました。
TOYOTAのレーシングチームである「G'z Racing」が強いのは、「デンソー(DENSO)」の存在が大きいのです。
電子制御(コンピュータによる制御)に特化した子会社の扱いでしたが、近年では電子制御なしでは自動車は操作出来ません。
よって、この分野のノウハウを積み重ねてきたデンソーの力は強くなり、親会社のトヨタに匹敵するとも言われています。
さて、少し脇道にそれましたが、頭が痛いのは2017年は4基まで使用可能だったPU数が、3基に制限されたことです。
「マクラーレン・ホンダ」は4基どころか、もう数えるのがアホらしくなるぐらいにPUが壊れ、その度にペナルティを受けて最後尾からのスタートを繰り返していました。
しかも、その中で「MGU-K/コントロールエレクトロニクス/エネルギーストア」と呼ばれる部分は、年間で2基までしか交換が認められません。
それ以上に交換を施した場合はペナルティが課せられて、スタートの順位が下がります。
(予選で決まった順番から、後方でスタートすることになります。)
昨年で、PU4基以上を使わなかったチームは、メルセデス製とフェラーリ製のPUを利用していたチームが大半。
ルノー製とホンダ製はボロボロでした。
あれ・・・?
そう。お気づきですか?
マクラーレンはルノーに乗り換えたけど大丈夫なの?
ふふふ・・・レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダも心配ですが、そもそもマクラーレンは根本的な原因を解決したことになるのか?という大問題があるのです。
ウィリアムズのシート争い
参照:ウィリアムズ、セルゲイ・シロトキンとは複数年契約 【 F1-Gate.com 】
「ウィリアムズ」というチームは、何度もチャンピオンを輩出してきた老舗のチームです。
しかしながら、近年は中団で闘うことが多く、表彰台に登ることは稀にあるか?ぐらい。
(もちろん、3位で。)
2017年にフェリペ・マッサとランス・ストロールという2人体勢でいましたが、これは本来存在するはずがないコンビでした。
なぜなら、フェリペ・マッサは引退会見をした後だったのですから!
なぜこうなったかは、ランス・ストロールと組ませようとしていたバルテリ・ボッタスをメルセデスに引き抜かれてしまったから。
しかも色々と問題視されているのは、「ランス・ストロール」について。
彼の父は資産家であり、ウィリアムズに多くの出資をしたことにより息子の「F1シートを買った」のでは?と噂されるほど。
なぜそう言われるのか・・・
それは、2017年の状態のドラビイングを見ただけでも、一度もフェリペ・マッサより上の順位になれなかったことでも明らか。
2台とも僅差なら良いのですが、フェリペ・マッサが中団を走っている間、ランス・ストロールは下位争いをするなんてこともしばしば。
普通ならば、フェリペ・マッサを残してランス・ストロールを解雇なのですが・・・
不思議なことに、フェリペ・マッサの引退を止めずに、ランス・ストロールはそのまま起用し続けると発表。
じゃあ、フェリペ・マッサがいなくなった後のシートは誰がゲットできるのか?!
候補は多くいました。
レッドブル、トロ・ロッソの両方から解雇を命じられた、「ダニール・クビアト」
(何度も危険なドライビングを行ったために、レッドブルからトロ・ロッソにシーズン中に降格させられ、しかも遂にはトロ・ロッソからも解雇されました。)
また、怪我によりシートを失いながらも、そこから復活を遂げた実力のある「ロバート・クビサ」
他にも、ザウバーで成績をしっかりと残しながらも、スポンサーの意向により不当にも解雇された「パスカル・ウェーレン」
(昨年、ザウバーの得たポイントは全て彼が獲得したもので、しかもメルセデスの育成ドライバーとして貸し出されていました。しかし、今のメルセデスには空きがありません。)
この3人に絞られるだろうと考えられていました・・・が!
選ばれたのは、「セルゲイ・シロトキン」
うん? 誰?
参照:ウィリアムズ、シロトキンの起用は「ギャンブルではなく投資」 【 F1-Gate.com 】
左が「ランス・ストロール」で、右が「セルゲイ・シロトキン」です。
ここで噂されているのは、「ペイドライバーではないか?」という点。
SMPレーシングがスポンサーに付いており、ロシア出身のセルゲイ・シロトキン。
ダニール・クビアトもロシア出身でしたが、彼もF1のレベルに達していないと散々に酷評されていました。
SMPがウィリアムズに資金援助をしているということが明るみになり、結局、資金提供によってシートを買う「ペイドライバー」でウィリアムズはドライバーを固めたのでは?となったのです。
実力者を多く輩出してきた名門「ウィリアムズ」
その地位は揺らぎ始めています。
アルファ・ロメオ・ザウバーが誕生
参照:アルファロメオ・ザウバー 「2018年は完全に新しいF1プロジェクト」 【 F1-Gate.com 】
いつかの時点で、「アルファ・ロメオ」をF1に復活させたいと考えていたフェラーリ。
過去に、アルファ・ロメオは自らF1に参戦していました。
今は完全に撤退をしましたが、ブランド価値を高めるために、F1の舞台に戻したいと考えていたのです。
フィアット(FIAT)の傘下にある、フェラーリとアルファ・ロメオ。
しかし、遡るとフェラーリはアルファ・ロメオのレース部門が分離して出来た会社なのです。
今では、立場が逆転してしまいましたが・・・
それほどまでにフェラーリとアルファ・ロメオは関係が深いわけですが、アルファ・ロメオはモータースポーツに関わらなくなりました。
アルファ・ロメオのネームバリューを高めたいと考えた結果、将来的には自らPUの開発を行う予定ですが、ザウバーのタイトルスポンサーとなることでF1に復帰をするという道を選びました。
フェラーリは、ザウバーに提携強化の印として、フェラーリの育成ドライバーである「シャルル・ルクレール」を貸し出しました。
2021年には、大幅にPUのレギュレーション(ルール)が変更される予定です。
この時に、「アルファ・ロメオ製PU」が提供される可能性はあります。
ハローの搭載とシャークフィン及びTウィングの廃止
ドライバーを保護するため、新しく「ハロー」という部品の取り付けが義務化されました。
これは過去に、前を走るマシンが大破することで、飛び散る破片やタイヤによって命を落としたドライバーが何人もいたからです。
参照:セルジオ・ペレス 「数戦もすればHaloは見慣れるはず。安全の方が重要」 【 F1-Gate.com 】
見た目が良くないと批判も浴びましたが、ドライバーの命を守るということを最優先に考え採用となりました。
透明なカバー(ロードレースバイクの様に)なども検討されましたが、視界が歪みかえって危険だという意見も出て、不採用となりました。
また、2017年のマシンを象徴付けていたのは、「シャークフィン」と呼ばれる背ビレのような部分。
参照:【F1】 シャークフィンが復活したのはスポンサー広告のため? 【 F1-Gate.com 】
これはレギュレーションの穴を突いた結果の形状でした。
マシンは走行するなかで風を受けながら走ります。
ですから、空気とぶつかるのではなく「綺麗な形」で風を後方に流したいわけです。
ドライバーの後方からリアウィング(後方のウィング)にかけての部分について規制はありませんでした。
ここに目をつけた各チームは、後に「シャークフィン」と呼ばれるようになった背ビレ状の部品を搭載したマシンを2017年に続々と発表しました。
また、更に改良を重ね、「Tウィング」と呼ばれる第2の小型のリアウィングを搭載させるということもしました。
しかし、「見た目が良くない」という意見や、Tウィングの破損によって後方のマシンが危険な状況になったりするなど、多々問題が発生したのです。
よって、これらは2018年には廃止となります。
最後に
2017年のシーズンが終わって、まだ2018年のシーズンが始まっていないのに、これだけのことが起きました(笑)
もう少し先なのですが、2021年にはPUの大幅なレギュレーション変更が検討されています。
これは、PUが複雑になりすぎて開発費がかさみ、F1にPUを提供するメーカーが参入してこれないためと言われています。
しかしながら、PUを単純化するということは、技術的に進歩する部分が少なくなるということで、「自動車メーカー」にとっては技術面での成長は望めなくなるわけです。
また、今まで多額の資金を投入して開発を進めてきたチームは、単純に考えると大損になります。
実際、フェラーリは「このまま行けば撤退する」とさえ宣言しています。
フェラーリが撤退すれば、F1への関心はますます縮小することになるでしょう。
これに合わせて、メルセデスも同じ立場を表明しています。
先ずは、2018年シーズンの一番の見どころは、「マクラーレン」 VS 「レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダ」です。
長い目で見ると2021年のレギュレーションによって、どうF1は変化するか?もあって、簡素化すれば他のアストンマーチンやアルファ・ロメオも「自前」のPUで参加する可能性が出てきます。
(アストンマーチンはレッドブルのスポンサーで、アルファ・ロメオはザウバーのスポンサーです。)
さて、どうなるのか・・・2018年2月後半は、続々とマシンが公開される予定です!
それでは、今回はこの辺で。
adios!!